Harmony
&
Serendipity

Harmony & Serendipity

一色ではなく、一景を。

江戸の美意識には、華やかさを競うこととは異なる、独自の豊かさがあります。

限られた色や素材のなかに趣を見出し、わずかな違いを愉しみながら、取り合わせによってひとつの佇まいをつくる。
そこに思いがけない美を見出し、新たな趣の世界をひらいていきました。

茶や鼠のような控えめな色にも、赤み、黄み、青み、濃淡といった微妙な差があり、それぞれに名前が与えられていきました。


その象徴ともいえるのが、「四十八茶百鼠」です。


色の数を列挙したものではありません。
限られた色彩のなかに、これほどまでの豊かな階調と趣を見出していたことを示す言葉です。

ひとつの色を単独で捉えるのではなく、近しい色の重なりや取り合わせに目を向ける。
そこに生まれる微妙な陰影までを含めて、ひとつの美として受け取る。

その感覚は、色だけにとどまりません。

素材の質感、色の重なり、細部の仕上げ。異なる要素が互いの持ち味を引き立てながら、ひとつの調和へと導かれていく。


たとえば、深い黒に黒を重ねるのではなく、黒の深みに沈むほどの茶を添える。
その茶の色も何色にもおよび、製品を作るたび工房にて毎度調色し革により使い分ける、
そのわずかな差が素材の持つ色の奥行きを引き出し、静かな表情をつくります。黒ですら、そうである。

異なる素材が幾重にも重なる製品だから、時にはなじませ、時には目立たせ、
そこには、法則性はない。それでも、全体にはひとつの調和がある。


「革、糸、ニス。」


異なる素材と色が、それぞれの質感と光を纏いながら重なり合う。その一つひとつが主張するのではなく、全体のなかで静かに響き合うことで、ものの佇まいが生まれる。

そこに求められるのは、ひとつの法則に沿って整えることではありません。

素材の表情、色の調子、光の受け方。そのすべてを見渡しながら、最も美しく響き合うところへと導いていく。



端正なかたちのなかに、素材の表情がある。

抑えた色彩のなかに、幾重もの趣がある。



華美に頼ることなく、細部の重なりによって豊かさをつくる。

〈OHBA〉が大切にしているのは、そうした調和のあり方です。